四時と十六時
時計で見ると同じ時間

明けるとき
更けるとき

空は同じ色をしていた

出かけよう　この町から
林立するビルの群れから
旅なんてカッコイイものじゃない
ただ、出かけるだけ


あの日に見たもの
雲の先は紫を帯びてとけていて
にじんだ空のベイビーブルー
明け色の海が月をかくした


出ていくんじゃないよ
出かけるだけ　だから
待ってないでいいから
忘れたって、いいから


時計が急げってせかしだす
言われずとも走る
写真が待ってと叫んでいる
なんて、うるさい


始発の電車がもう来てるから
わたしの自転車は置いてくね


わたしはいくが、きみは元気で

ハロー　ハロー
ここにいるわ
ねえ　気づいて


手でつくったヘッドフォン
意味のないコードは海のそこ
いない人魚のうたを聞きながら
わたしはだれかをさがしてる
はねてかえる声を待ってる


ハロー　ハロー
ここにいるの
ねえ　こたえて


できれば
コールミー

ぼくらの愛したあの部屋に
すべての思い出を置いていく

パン屑
ちらかった本
ちらばったトランプ
雑にたたんだ体操着
ひしゃげた缶
紙の山

きみからのキスは
ぬるいコーラの味がした

いつか笑って取りにいこう
くだらなかった　なんて
笑い飛ばせる日が来るといい

星に願い
月に祈り

あなたと世界が、平和でありますように

ないしょでささやく
あいのうた

夏はきらい
でも　きっと好きになる
夏の青さが似合うひと
冷たい手が大きいひと
やさしいから
きっと　好きになる


うだるように蒸し暑い家の縁側
風はない
蝉の声でもあればいいのに
ふいに思った
残暑のくもり
浮いた汗玉


ひまわりがたくさんあった
きらいな花
あのひとみたい
一輪だけ盗んで逃げた
だけど　気づいたらしおれていた
だから　さよなら


カーテンが揺れる
ふわふわり
ぜんぷう機がまわる
からからり
ふうりんが鳴った
りんりんと
地面が焼けて焦げた
じりじりと


やっぱり
夏はきらい
好きにはなれなかった
なんだか　さびしくなった