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接ぎ木

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2007.10.05 Fri 「 〈ゲーテ格言集 シュタイン夫人へ〉未選択
われわれはどこから生まれてきたか
愛から
われわれはいかにして滅ぶか
愛なきため
われわれは何によって自己に打ち克つか
愛によって
われわれも愛を見出し得るか
愛によって
長い間泣かずに済むのは何によるか
愛による
われわれをたえず結びつけるのは何か
愛である
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2007.09.18 Tue 「 世界でいちばん愛してるっR
「ツーナ、なに食ってんだ」
「山本」
「やたら黄色いけど桃か、それ」
「ネクタリン。ひと切れどーぞ」
「さんきゅ……おお、意外とすっぺーのな」
「まあね。ネクタリンを酒にすると不老長寿の薬になるんだってさ」
「へえ」
「うそだよ」
「知ってるさ。ツナがうそつきだってことくらい」
「知ってたよ。だから山本ってにがて」
「ひでーな」
「だいじょうぶ、世界で十四番目に好きだから」
「びみょう!」
「おれの気づかいをむだにしてくれるな」
「んじゃぱっぱと十三人殺して一番になんねーとな」
「愛がいたいよ」





(ただし世界人口ふたりっ、みたいなっ!)
2007.08.30 Thu 「 (no subject)sentence
アナタの想いは
このモニターを通じて
彼女に届く

そんな都合が良いことがあればいいのに



(夜騎烏の詩・弐)
2007.08.30 Thu 「 (no subject)sentence
出会うこと
巡ること
再会すること

全ては別れを前提に成り立ったいる



(夜騎烏の詩・壱)
2007.08.15 Wed 「 無口なシエラザードR
「ツナ」
「ん」
「寝れねえ」
「昼寝のしすぎ」
「歌うか話すかしろ」
「わがまま駄々っ子だね先生」
「殺すぞ」
「おれが死んだらおまえ泣く?」
「さあな」
「ふうん。ならつまんない話でもしてやるよ。
 飼っていたカナリアだかインコだかが死んだんですごい泣いたやつがいた。目が真っ赤になるまで泣いたくせに泣きながらそれを埋めて埋め終わっても泣いてた。で、その日の昼飯はケンタのフライドチキンだったもんだからそいつは大よろこびでけろりと食った。
 おしまい」
「ひでー話だな」
「なんだ今さら気づいたのか。おれは昔からひどいやつなんだよ」





(さっさと寝ろよべーべ)(やっぱ死ね)
2007.08.13 Mon 「 物狂い(未完)G
 未だ五月の上旬だと云うのに太陽は情け容赦無く地球に於ける己の存在意義を全うし、頼んでも居無いのにアスファルトの地面を焦がした。じりじりと照り付けられた肌は赤みを帯びて汗ばみ、汗が後から後から噴き出して来る。
 予想外の暑さに黒髪の青年は襯衣の袖口で額を拭った。
 もうの手には骨董調の旅行鞄。今となつては使う者が少ない様に思える其れは青年に馴染み、ぱりつとした開襟襯衣に黒の下穿きと云つた出で立ちからも育ちの良い事が窺える。
 瓦屋根の母屋が軒を連ねるその路地は酷く閑散としていた。
 太陽は疾うに頂点を退いたと云うのに聞こえて来るのは多種の蝉の声許りで直前まで聞こえていた喧騒が丸で嘘の様。まさかと思えど此の世で無い所へ紛れてしまった気さえする。
 青年は路地の真ん中で立ち尽くし、鞄を下ろして、くしゃゝゝゝに丸めてあつた紙切れを慎重に伸ばした。
 筆圧を感じられ無い細い字で書き付けられている住所は周囲の電信柱に貼られてあるのと同じ物。然し目的の家屋は一向に見当たらない。
 矢張り意地を張らずに迎えて貰うべきだつたかと青年は嘆息する。
「……っ」
 視界がぶれた。無様にも引繰り返りそうになる身体を留める。
 不意に閉じた瞼を押し上げると逆光に立つ影が一つ。
「怖いのか」
 長い髪は風に吹かれても揺れず、表情のない目がじいと此方を見ていた。
「怖いのだな」
 音が耳に返って来る。其の時まで消えていた事すら感知していなかつた青年は目を見開き、瞬く。影は消えた。
 余りの眩さに今度こそ身体が後ろのめりに傾き、然し為す術も無く衝撃に備えかけ、
「大丈夫ですか」
 柔らかな声に支えられた。
 抱きかかえられている状態に青年は息を呑む。
 布を隔てに触れている部位が妙に冷え、次いで燃えた様に熱くなる。
「立てますか、」
 青年は手を借りて立ち上がる。
「済まない……」
「否」
 青年を支えたのは丁度同じ頃合いの男だ。
 縦縞柄の襯衣の袖を肱まで捲り上げ、傍らには満たされた桶が有る。綿菓子の様な鵄色の髪は短く、浅黒い肌は如何にも健康そうだ。男の背後の戸が開いている所を見るに、どうやら此の界隈の住人らしい。
「この暑さだ、日射病にでも成つたんでしょう。どうぞ上がつて休んでは如何です、」
「否……大丈夫だ」
「その様には見えません。――嗚呼、酷い顔だ」
 男は心配そうな面持ちになり、ふと青年に手を伸ばす。冷んやりした指先が頬に触れた。
 反射的に青年は其の手を払つた。
「あ……」
「失礼。異人さんでいらつしゃつたのですね。御無礼な事を」
 然し男は気にした風も無く、眉尻を下げ、謝罪を口にした。そして目聡くも青年が握る紙切れに気が付き、すいと長い指を寄せる。
「此処をお探しで、」
「ああ」
「ならば連れて差し上げます。一人で歩くには此の路は些か不親切ですから」
 青年は少々躊躇つたが向かう先の主人と交した約束の時間は刻々と迫る。元より尋ねやうと思つていたのだ。顎に宛てていた拳を払い、青年は頷く。
「では頼もうか」
「はい」
 男も又頷き、桶を玄関口に寄せて戸を閉めた。

 ◇

留学生ルルーシュ、分けありスザク。
自発的には続きません。
2007.08.09 Thu 「 赤い糸プロジェクトR

 漸く結ばれる可き人が居る時代に生まれたのに彼の人はおれを置いて逝つてしまいました。おれの事等知ら不に。復た間違えてしまつたのです。おれは復た遅かつたのです。彼の人はおれとの恋を知ら不に逝つてしまいました。だから探しているのです。彼の人が此処に居た痕跡を。僅かでもおれを待つていてくれたと証明してくれる物を。

 例えば赤い花の束。彼の人が好んで訪れていたと云ふ花屋の店先に置いて在つた赤い花を一つ残ら不買い占めました。おれが知つていた彼の人は赤等と云ふ下品な色を好んではいなかつたので少なから不意外に思いました(似合うと思っていたがおれは一度も言わなかった)(わざわざこんなのが似合うなんて悪趣味なこと言えるか)。

 例えば橙の自転車。彼の人が昔住んでいたと云ふ町の塵捨て場に乗り捨てて在つたのを一撫でしました。彼の人は運動がてんで駄目でしたので自転車を持っている事も知らなかつたおれは唖然としました(自転車で登校すれば遅刻しねえとはは考えなかったのか)(こんな派手なのに乗せるくらいなら走らせた正解だったじゃねえか)。

 例えば緑色の茶碗。縁が少しだけ欠けていた其れは奇麗に洗われて使われないまま逆様にされていました。以前の彼の人は珈琲よりも紅茶をより好んで飲んでいたので驚きました(たしかに珈琲くらい飲めるようになれとおれは言った)(だからってこんな色のカップを使うやつがあるか)。

 例えば青い色眼鏡。枠組みが歪んでいる其れは埃を被っていたので棚からこっそり持ち出しました(てめえがてめえの目の色がきらいなことくらい知っていた)(なんだってこんな不健康なもんで隠そうとしやがった)。

 例えば藍色の上着。能く着込まれた其れは袖の釦が外れそうになつていておれは解れた糸を食い千切りました(寒がりのくせにうすっぺらいもんばっか着ていたな)(こんなん着て歩いたって見つからねえわけねえ)。

 例えば紫の筆記具。先が潰れた其れは屑籠の中に在つて代わりが既に用意されていた事に多少の戸惑いを覚えました(いつもの行き当たりばったりはどこへ行った)(用意周到になったとでも褒めてもらいてえのかとよ)。

 見つからなかつた色。

 おれは彼の人が憎い。
 おれは彼の人が憎い。
 大嫌い等と稚拙な科白を言える様な子供ですら無いおれは唯だ唯だ彼の人が居た事許り探している。

 永久に好きだと言える貴方へおれの悠久の初戀を。どうぞ召しませ。其の御身に流るる其の味の名は罪にも勝りし尊き物也。之ぞ正しく怨みの歌舞。
 次の時代で相見えた時こそ其の御身頂戴したく御座います。

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