なにやらやたらとご機嫌な様子でスザクは白いねこじゃらしを左右にぷらぷらさせている。最初はスザクなどにかまわれてやるかとでも言いたそうな態度でかたくなにそれの誘惑を振り切っていたアーサーも今となっては形なしだ。所詮は猫。ねこじゃらしの効力を侮ることなかれ。
「かーごめ、かごめ」
いつもならハミングでとどめられているのに、本当に今日はめずらしい。彼が口ずさんでいるのはなんの偶然かルルーシュが夢に見たそれで、ふと思い当たって今朝からずっと考えていたことを尋ねてみた。
「なあ」
「んー。なに、ルルーシュ」
「昔、その遊びをしていた子どもたちを見かけたことがあったよな」
「一度だけね」
ルルーシュとスザクと、自身が背負ったナナリーの三人で遠巻きに見たあの遊び。まんなかにしゃがんでいたのは長い三つ編みの少女だった。子どもながらにあれは儀式めいて見えて、ルルーシュには少女を生贄にして悪魔かなにかを喚び出すのかと思った(そしてきっと自分とナナリーは殺されるのだろうと)。でもその想像ははずれて、ルルーシュもナナリーも生きている。当然だ。あれは子どもの遊びなのだから。しかし、
「あの子はどうなった」
スザクはこちらを振り向かない。ねこじゃらしは揺れている。
「かえってこなかったよ」
笑うような、泣きたいような。どこかあきれたようにばかにするような声がわずかに強められていたことに気づけないほど、ルルーシュも愚かではなかった。
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