それはまるで、かつて信じた神の声のようだった。
焼けた赤い大地にも注いだそれのように、彼のすべては少年のかわいて餓えた心を照らして埋めて引き裂いた。
彼は少年のからだを慈しみ、愛おしんだ。わけもわからずこわくなって、拒絶することで逃亡するほどに彼は教えこまれた神の愛だと思った。不在と知った神の具現だった。
けれど彼はうれしくなるくらい人間だった。自分と同じみにくいばかりの人間とわかって、よろこびと怒りにやはり拒絶することしかできなかった。
最終的に彼はやはり少年を救わなかった。平等な神のように。救ってくれなかった。捧げた祈りを受け取ってもらえたのかさえわからない。傲慢な神のように。与えられるばかりの少年はひとつもこぼさないよう必死だったから、彼にあげられたものなんて祈りくらいしかなかったのに。だれにも見られたくなくて隠しといたものさえ彼は知らない間に入れ換えてしまっていた。奪うように持っていかれた秘密の行方を少年は知らない。だって彼は聞いてくれるだけで教えてはくれなかったから。
ひびく遠雷。
それは赤い大地さえ白く焦がして。
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乗車から下車13分でどこまで書けるかチャレンジ
刹那とロックオンで意味わからん
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