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接ぎ木

2025.04.07 Mon 「 [PR]
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2008.07.07 Mon 「 WeltO

 背中にバスターソードを背負い、小脇に何かを抱えていた短い黒髪の男――ザックスは騒音と呼ぶにふさわしいくらいあわただしく廊下を駈け抜けていた。授業中ということも手伝ってか、ザックスの走る音は士官学校中に響き渡っている。そのうえ「教官教官きょうかーん!」と叫んでいるのだ。士官学校にいるのはたいてい生徒か教官であるのだからその呼びかけが意味を成すことはふつうない。だがザックスが呼ぶところの「教官」とはただひとりのことを指している。そのことを分かりきっている他の教官たちはザックスの存在を黙殺し、騒音に集中力をかき乱されている生徒たちを叱責している。

 ――ばたばたばた!

 あのひとは第三訓練室にいるはずだ。何度も世話になった自分が迷うわけがない……確固とした自信を持ってザックスは迷うことなく廊下を駈ける。
 目的の場所にたどりつく直前になってガラリと扉がひらかれた。「廊下を走るな」背筋が凍るような低い声を同時に足に何か引っ掛かって「うおっ!」ザックスは転倒した。咄嗟に抱えていた物を小脇から胸に移動させて受身を取る。
「痛ぇー」
 後頭部と肩を思いきり打ってしまった。地面とちがって硬いリノリウムの床はすべりやすいし受身が取りにくい。なによりザックスは防御が苦手だ。痛む後頭部をさすっていると、目の前に黒い影が立った。おそるおそる顔をあげれば紫暗色の双眸と目が合った。
「ソルジャー・ザックス」
「はいっ」
 名前を敬称付きで呼ばれる。昔の条件反射でザックスはバネだけで立ち上がるとぴしりと背筋を伸ばして敬礼する。
 教官はザックスを見おろして後ろ手を組む。
「まず、あなたはソルジャー1stとしての自覚がたりなさすぎる」
「はい……」
「だいたいあなたは今月にはいって何枚始末書を書いた。それを処理する管理部の身にもなってみろ。ただでさえデスクワークが苦手なあなたには書類処理がどれだけ手間が掛かるのかわかっているだろう」
「はい……すんません」
「ならば次回こそ気をつけろ。……それで、士官学校をとうの昔に卒業させてやったあなたが一教官である俺に何用だ」
「あ、そうだった! 教官こいつ診てやってくれよ」
 ザックスは胸に抱えていたものを教官に渡す。押しつけられるよう受け取った教官はそれが異様に軽いことにおどろいた。血で汚れた毛布に包まっているそれを見て一気に機嫌が低下する。ザックスがやばいと思ったのも束の間、教官はにっこりと綺麗な笑顔を張りつけていた。
「おい、ハリネズミ。おまえ、どこでこいつ拾ってきやがった」
 言葉はかなり凶悪だ。それに比例して目が爛々と物騒な光を保っている。
 ザックスは腹を据え、ぽつりと日常では考えられない蚊の鳴くような細い声で告げた。
「……ニブルエリアです」
「こんの……大馬鹿が!」

 ごん!

 耳を疑うような鈍い音。その直後に地割れが怒りそうなザックスの悲鳴が建物内に響いた。


  ***


 バルセイザ・グレイフィールドといえば、いつでも軍服に似た士官学校の教官服を隙なくきっちりと着こなしている。黒い制帽から零れるのは日に透ける細い金髪だ。百八十七センチと長身だが、見た目では小柄で痩せている印象を与えるのは無駄な筋肉がいっさいついていないからだ。北方系の血の引いているらしく肌はアルビノと間違えられるほど白い。それに似合う中世的な顔立ちと大きな紫の目とは裏腹に士官学校では鬼教官で通っている。年齢や出身を問わない彼の無差別さをきらう者は多いが、問題児の教育にかけてはピカイチだ。ザックスもそんな彼に卒業させてもらったクチである。
 そのバルセイザを前にザックスは固まっていた。
 今いるのは校舎ではなく教官の私室などがある棟だ。全寮制のこの学校は教官にも寮生活を強いているのだ。
 先ほどザックスが持ちこんだもの。それは小柄な少年だった。
 その少年はニブルエリアでモンスター掃討ミッションの最中に血塗れで倒れているのをザックスが発見したのだ。そのミッションの指揮官はザックスで、ミッション終了と同時に慌てて輸送機(ゲルニカ)に飛び乗ってミッドガルまで戻ってきたのだ。そのまま看護班に預ければいいものを、何をトチ狂ったのかザックスは混乱したまま頼りになる恩師のところまで走ったというわけだ。
「……それで?」
「…………以上です、サー」
「サーをつけるな。あなたのほうが上官なんだぞ」
「癖になっちまってんすから、ほっといて」
 不貞腐れながらザックスはちらりとベッドのうえを見やった。
 簡素なパイプベッドでは少年がすやすやと寝息を立てている。汚れた身体を清潔な布で拭ってみると驚いたことに真っ白な肌が覗いた。ぱらぱらと乾いた血がこびりついていた髪はプラチナブロンドだ。
「あの子どもはどうする気だ?」
「しばらくあずかっといてニブルに返そうと思ってたんだけどさ、俺ミッションはいっちまったんだよ」
「期限は」
「指揮は旦那だからたぶん一週間以内」
「……俺にあずかれと?」
「さっすがー! 教官は話が早いなあ」





―――――
無謀にもFF7を焼きなおしてみようと書きだしてみたものの一部。
2007年9月ってもろ受験中やーん。
まあCC出たからもうむりですな。

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