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張りめぐった電線が交差しているところに電灯が吊るされている。そういう町だった。
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そいつのあだ名はトカゲだった。本名も学部も知っている人はたぶん少なくて、でも存在自体は大学内で有名だ。彼なのか彼女なのかも定かではないけれど噂では別れさせ屋とか鞘当て屋とか言われている。当人にその気がないのを知っているのは恐らく本人以外におらず、またそんな噂があるくらいなのだから世話になった者もたしかにいるのにその彼らすらも首をかしげる。中にはありがちな七不思議と笑い飛ばす者もいたが、たしかにトカゲは在籍している。
気味がわるいほどまだらに染めた髪に、明らかに人工の色をした数束のエクステンションがくっついた襟足。焦げ茶色のサングラス。
そんな意味のわからないすがたをしているのもトカゲと呼ばれる所以だ。
そしてさらにもうひとつ。トカゲの噂を後押ししているものがある。人工色のエクステンション。彼の襟足からそれがなくなったとき、彼はなにかから切り捨てられた証拠なのだ。
―――――
果たして来夏に間に合うのかそんなオリジナル
「なあ、影とかたちってどういう意味?」
先日完結したばかりの某ファンタジーストーリーの原初(しかも三巻! いつの話だ)を片手に泣きそうになっている。なんでまた課題にそんなめんどうなものを選ぶんだか。漏れかけたため息を飲みこんで淹れなおしてもらったコーヒーを口にする。
「ピーターパン、知ってる?」
「ディズニーのでいいなら」
「うん。それでさ、ピーターパンって離れてしまった影をつかまえようとしてひっちゃかめっちゃかにしたじゃない。そういうこと」
「わっかんねえよ!」
「だからー」
ぬるくなったコーヒーをもうひと口。
「いつもいっしょだったのに、ばらばらになっちゃったから。だから捕まえて、縫い合わせたがるんでしょう。同じがいいから」
そう考えたらあれだろうか。ピーターパンの影は、ピーターパンの形から逃げたかったんだろうか。
ねえ、ピーター。愛した人を愛したときと同じすがたをした娘を見たとき、あなたの絶望は何色をしていたのかしら。
――――――
不死人について考えていたらこうなちゃった。
ピーターパン、考えてみれば残酷なお話。
ハ/リ/ポ/タ三巻の鹿犬の表現は、こういうことかなって。
ピーターパンの舞台も英国でしたし。
「ぼくは、そう思います」
「なるほど。きみの主観ではそうなるか」
「あなたの意見とは異なりますか」
「大いに」
「それなら、ぼくはあなたを信じます」
「どうして?」
「少なくとも、ぼくよりかはまともだから」
「それもきみの主観だね」
「意味がわかりません」
「わたしが客観的と思ってるのはきみの主観によるってことだよ。わたしはわたしが信用ならないから、なおさら」
「……」
「ふふ、そんな怖い顔しないで。でも、覚えておいて。人間はどうあっても主観でしか物事を見れないってこと」
―――――
スカイ・クロラおもしろかった
たくさん考えさせられた気がします
気のせいかな
福袋にはいっていた濃いグレイのウールコートと去年の三月にもらったチョコレートカラーのキャスケット帽、それからさっき食べたばかりの蒸し鶏とゆでたまごの親子サラダ。
今の花名をつくっているのはたぶんそんなものだ。
天気はとりあえず晴れ。もう桜も散りはじめているというのにまだ肌寒くて(そういえば三月に雪が降った)、それなのに足の下のダンス部は薄いトップスとスウェットすがたで拡張されてひび割れた音楽に合わせて身体を動かしている。
「元気だなあ」
お気に入りのティーオレの紙パックを片手に、高さが胸くらいの手すりに肘をついて曲が終わるまで踊りつづけるグループをなんともなしに眺める。
元クラスメイトだったり廊下で見たことがあったりする顔はやはり上手い。ライヴに行ったことは一度もないが、ダンス部の有志パフォーマンスを見るのは好きだ。派手な振りがあると素直に感動する。
そう広くない中庭をぐるりと見わたし、なんとなく昇降口のほうを見やる。正しくは二階の渡り廊下が邪魔していて昇降口は見えないが人通りはあるからたくさんの生徒が行き交っている。
花名がいるのは部室棟の屋上だ。
部室棟はコンクリートでできた二階建てで、灰色の豆腐がどんと置いてあるイメージだ。備えつけの階段は錆びが浮いているし、日当たりが悪いので夏でもないかぎり利用者はほとんどいない(ときどき弦楽部が練習していたり男子たちがたむろしていたりするが)。
しかし今は花名一人で独占状態だ。なかなか気分がいい。自習にレジャーシートを敷いて魔法瓶を持参してぼうっとしているときでもこうはいかない。べつにサボりではないのになぜか教師陣の目が痛いのだ。確実に帰ってこいと言っている。
もちろん、そんなものを気にする花名ではない。教師のかわし方なんて三年もここにいれば自然と身についた。
「お」
頬をくるんでいた手をはなし、花名はぱちくりと目をまたたかせた。コートが汚れるのもかまわずに手すりに足をかけてすこしだけ乗り出す。
かなり大きいはずのエナメルバッグが小さく見えるほど背が高い男子生徒がなぜかアクエリアスの缶をがしゃがしゃ振りながら歩いてきた。
「……なんで振るかなー」
スポーツドリンクを振ったってまずくなるだけだと思う。
気づくかな、と薄い期待で手を振った。気づかなければそれはそれでいいのだ。次の数Bはちょうど自習だし、読みかけの本もあるから退屈はしない。
男子生徒は部室棟の目の前に来てやっと花名に気がついた。ふらりふらりと手を振りつづけているのになにを思ったのか、アクエリアスから口をはなして首をのけぞらせた。
「花名さーん、なーにしてんすかぁ?」
いつ聞いても通る声だ。だみ声とか言われているのをよく聞くけれどそんなことないと花名は思う。
声とキャラのギャップならまだかわいいほうで、見た目と中身のギャップが広すぎるやつなんてこの学校にはごまんといる。教師だってそうだ。
低くて重たいススキの声にぎょっとしたのか、動きの止まった生徒が何人かいた。その中のかわいい女の子は嬉しそうにきゃいきゃい笑いあっている。
その青春に水を差す気持ちになりながら花名はワンテンポ遅れて返答した。
「ススキを見下ろして手振ってる」
「……あのさー」
ススキはあきれたように空いている手ですこし長い髪をかき乱す。つづけられる言葉はなんとなく予想がついた。
「おれは鈴木ですってば。一体何回言ったらわかるんすか」
「わかんない」
「わかんないじゃなくて。覚える努力してくださいよ」
「や」
短く即答する。そうしたらススキは変な顔になって、次の瞬間にはすこしだけ顔を赤くした。
「って、あんたは子どもか!」
「うーん、まだ子どもだよ。だからわたしの後輩のススキも子どもってことで」
へらりと花名は笑う。
つっこみ気質のススキをからかうのは楽しい。ときどき鉄拳制裁を喰らうこともあるけれどススキは基本フェミニストだ。熱くなると人目をはばからなくなるのもかまいたくなる原因だ。
「ススキもこっちおいでよ」
微妙な表情でくやしそうにうなるススキを手招きする。いじめすぎたから来ないかもしれないけれど。
「……うっす」
かと思えばススキはうなずいて部室棟の影に隠れた。どこまで従順なのだろう。
ご主人さまと犬について考えながらもう一度中庭を見わたす。ダンス部の何人かがほけーっと花名を見上げていた。思ったよりも目立っていたらしく、今さら恥ずかしくなってきた。
「さらっとひょろっとしてるススキが悪いんだよ」
「なんすかそれ!」
「見た目」
この学校は比較的明るい頭が多くて、時期が来ると漫画ばりにカラフルになる。花名の新しいクラスメイトや元クラの連中にも金髪やそれに近い色に染めている人たちはたくさんいたが、あれほどきれいに染まった色ははじめて見た。本人はかたくなに地毛だと主張しているが男のくせに細くて薄くてさらさらは反則だ。神さまはあきらかにパーツを与える相手をまちがえている。
「変なかっこ」
上は黒のフォーマルチックなジャケットなのに、下は迷彩柄のだぼだぼパンツに黒いミリタリーブーツ。
「でも似合ってるよ」
「花名さんも今日かわいいっすよ」
「花名さんはいつでもかわいいよ」
「うわ、出たよ自意識過剰」
「よーしその減らず口を縫ってやろう」
「すんません」
―――――
ぶっちゃけて出身高校のことを書いてみた。
あまりまちがってない。
むしろ多めに真実。
ここ一週間ほど雨が降っていない。小学生以下の子どもにはうれしいどっぴいかんが連日でつづいているのだ、これでだれないほうがおかしい。それに加えて県立高校の教室にエアコンは設置されておらず、授業の中休みのたびに自動販売機や近所のコンビニは大繁盛。年を取ると暑いのも寒いのもいやになるものだ。
「……あつい」
もちろんそれは寿々も例に漏れない。クラスメイトとちがってアイスやら水分やらを買いに行かないのは椅子から立ちあがる体力すら根こそぎ削られているからにほかならない。片頬を机にべったりとつけたままぴくりとも動かないでいる。
「すず姉、ほんとに暑いのだめだよな。今日なんてまだ二十五度越えてないし、肌寒いくらいだと思うんだけど」
あきれたように笑うのは双子の弟である永だ。に笑いながら水滴がびっしり浮いた青い缶をふたつ、寿々の顔の横に置く。今は昼休みだから教室内はがらがらだ。永は遠慮のかけらも見せずにすぐ前の椅子を引いた。
「……細胞のころから一緒なのにそういうこと言う、ふつう」
「無添加で純度百パーの愛ならある」
「いらない」
「うっわ、即答かよ。すず姉ったらひっどー。おれ、泣くよ?」
「いいよ、べつに。きもくて愉快だから」
がんがんに冷えたスポーツ飲料の缶を頬にあてて熱を下げながら寿々はなんでもないように言う。というかなんでもないことだ。いいかげんおたがいが飽ききっているやりとりにつきあうほど寿々はひとがよくない。永のサービス精神がよすぎるのだ(そもそも見世物じゃない)。
効果音をつけるならトッカータとフーガといった様子の永を黙殺し、ある程度まで回復した寿々はいそいそと横にかけておいたビニル袋の中身を引っぱり出す。
拳より小さい焼きたらこのおにぎりがひとつ。ツナオニオンとたまごのサンドイッチがひと切れずつ。ラップでつつんであるのは自作ゆえ、コンビニ袋なのは単純に放置してあったからだ。
「いただきます」
儀式的に手をあわせ、寿々は海苔でまっくろな物体に噛みついた。今朝は暑くて起きられなくて時間がなかったので適当ににぎってきたのだが案の定しょっぱい。たらこの塩気をばかにしていた。
頭のなかで流れはじめる某たらこの歌をふりはらい(よくよく考えればあの状況ってこわい!)、缶のプルを引っぱりつつ寿々は弟を見る。
「で、なんであんたはナチュラルにひとの飯食ってるわけ」
「二限に早弁したら腹減った」
「これについでに買ってくればよかったじゃない」
缶の腹を爪ではじいて、寿々。対する永は背もたれに腕をからませてサンドイッチを食いちぎった。
「ひとがごみのよう、略してひとごみ」
「たしかに」
うんざりした物言いにうなずいた。わざわざあんなところにつっこむのは死にに行くのと同じだと思う。
もそもそとおにぎりを飲みこみ、寿々は残っているサンドイッチを手に取って、
「はーるかちゃん」
「なんでっしゃろ」
「なしてわたしの好きなほう食べるかな」
にこりと小首をかしげてみせれば、永は「んー」と缶に口をつけながら意味もなく窓の外を見やる。寿々の席は窓際の最後尾で、一番風の通りがいい場所だ。夏の間の定位置。
「おれがコロンブスきらいだから」
「意味がわからない」
「素直に言ったら誤解招きそうじゃん」
「招くだけ招いて追い出せよ」
「めんどい」
「根性なし」
「うるせえ」
永が机を蹴った拍子で缶の水滴が飛んだ。なんとなく気分が沈む。寿々はラップをコンビニ袋につっこんで口を結び、ずれたところにあるごみ箱に放った。こういうとき後ろって便利だ。
「もういっそ溶けたいかも」
食べたら余計に体力が減った気がした。さすがに人目があるからスカートをばさばさしてあおぐわけにもいかず、寿々はせめての抵抗で机に上半身を投げ出す。
―――――
暑かったんです。
書いていてほんとうに思う。わたしの子たちって基本的に根幹がいっしょ。いやどれも我は強いけれど。
しょーもないくらいだれも似てないのは「無題」派生シリーズの子たちだわな。
〈海猫食堂〉。今どき探してもそうない店名をしたそこは駅と住宅街の中間地点にひっそりとある。そこは父娘ふたりで切り盛りされていて、店主である父のほうは料理人とは思えないほど強面だ。どことなく日本人離れした雰囲気は日系イタリア人だかららしい。娘のほうも、髪や目の色は日本人に多いそれだが顔立ちや肌色は海の隔たりが感じられる。
この町の住人でもない広哉が〈海猫食堂〉に通うようになったのは職場の先輩に連れられてランチしにきたのがはじまりだ。
広哉は駅近くに門をかまえる予備校の講師をしている。講師と言っても直接教えるわけではなくてあくまでもスタッフのようなものだが大学に通うかたわらでのそういうバイト(だと思う。正式な社員ではないから)は上手くいけば二年後に経験しなければならない教育実習の予行演習になる、とかなんとか。そんなことを酒の席で言われ、誘われるままにこうなった。まだまだ新米だ。
ランチタイムの中盤を過ぎた十四時半、広哉は仕事着であるスーツのまま財布と携帯だけをジャケットのポケットに入れて〈海猫食堂〉の飴色のドアハンドルを引いた。カラン、とドアベルが乾いた音をたてる。
店内は思っていたとおりに閑散としていた。この店はわかりにくい場所に位置しているだけでなく、外観も周囲の風景にぴたりとはまってしまっているせいである意味見えない状態だ。
タウン誌ですら見つけられないという〈海猫食堂〉。こんな穴場を知ることができた自分はラッキーだったと広哉は食後に手をあわせるたびに先輩に感謝する。ここの料理はどれも美味しい。
「いらっしゃいませ」
店主の趣味なのか、ヴァイオリンだかチェロだか、とりあえず弦楽器の静かな曲をBGMにひんやりした声がかけられた。
フェミニンな白のドレスシャツに黒のスラックス、腰巻きのエプロン。本来ならばセーラー服なりブレザーなりに身をつつんで勉学に励んでいるのが年相応な少女の出迎えだ。リコ。〈海猫食堂〉の看板娘だ。なぜ広哉が名前を知っているのかと言えば、単に常連らしい中年の男やOLたちが親しげにそう呼んでいたから。
おたがい顔を覚えたころだ、広哉はラフに片手をあげる。
リコはうなずき、自然な動作でラックからメニューを一冊手に取った。
「おひとりさま、でよろしいですね」
「うん、今日もひとり」
「かしこまりました。では、お好きな席へどうぞ」
淡々とした応対。リコは広哉にメニューを渡し、てきぱきとした動作で厨房のすぐそばにある衝立に引っこんだ。すこしすればミネラルウォーターの注がれたグラスを運んでくるはずだ。ほのかにレモンの風味のそれは、グラスのエッジに指をあててくるりとすれば涼しい音を鳴らしそう。
席数はそう多くない。ふたり掛けのテーブルが四席、カウンタには脚の長いスツールが五つならんでいる。 広哉はとくに迷うこともなく奥まったところにある二人席に腰を落とした。
リコが円形のトレイにグラスを乗せてテーブルにやってきた。ついでにオーダーを済ませてしまおうと広哉はメニューにさっと目を通した。今日のおすすめ、トマト&バジルの冷製カッペリーニ。それとセットでアイスティーを。少女は注文をオーダー票に速記、復唱。不要となったメニューを持ってそのまま厨房にはいっていく。
ひまになってしまった広哉はぐーっと人目を気にした程度で背筋を伸ばす。ぐき、と妙なところが音をたてた。楽な体勢だとしてもこまめに動かなければ身体は凝るものだ。もちろん立ちっぱなしもよくない。ふとすれば講師仲間と立ち話をしていることが頻繁にあるから気をつけないと。
広哉はグラスをかたむけながら店内を見渡す。客は広哉をのぞいてただひとりだ。
カウンタ席の一番奥で金髪の男が煙草をくゆらせながら本を読んでいた。ときどき見かける。そこが指定席だと言わんばかりに堂々といつもくつろいでいるのだ。そう言えば広哉はあの男が食事をしているところを見たことがない。会計をしているところは二、三度くらい。広哉もたいがいのんびりしていくほうだが(そして先輩にこづかれる)金髪はそれ以上だ。いったい何時間、彼はああしてあの席に居座っているのか。
ちびちびとやりながらそうしているうちにカラン、とふたたびドアベルが鳴った。自然と目がそちらへ向く。やってきたのは女性がふたり、そのうちの巻き毛のほうは講師仲間だ。彼女はオフのはずだからこれは本当に偶然。
「あ、ひろやん」
気づいた巻き毛は軽く手をあげ、広哉も同じように返す。彼女は地元人だ。そして常連でもあるらしい。ふたりはリコを待たずに広哉のとなりのテーブルに着いた。
流れではじまった自己紹介を終えたところでリコがメニューを小脇に抱え、片手でトレイを支えていた。広哉たちのそれが一段落つくのを見計らっていたのだろう、タイミングを逃さずオーダーを運んできた。
リコはいらっしゃいませ、と巻き毛たちに頭を下げるとメニューをそれぞれに配した。それから広哉のテーブルにナプキンを敷いてフォークとスプーンを、幾何学模様のコースターには汗をかいたグラスが。最後に、さあどうぞと言わんばかりに置かれた、見目良く盛りつけられたイタリアンカラーが目に涼しいガラス皿。
確認するまでもなくオーダーは以上出そろった。
「ごゆっくりどうぞ」
〈海猫食堂〉ではあまり必要とは思えないそれ(なにせ客のほとんどが一時間以上居座るようなところだ)。しかしそこはあくまでもサービス業、営業側にもルールがあるようだ。たしかに言われないよりかは言われたほうが堂々とのんびりしていける。
リコがとなりのオーダーを受けているのを横目で見ながら広哉は細いパスタをくるくる巻いては口へと運ぶ。ちょうどいい具合にアルデンテ。愛想の悪い店主は世の通例どおりにプロだった。
「リコ」
皿の上があらかた片づいたころに聞こえた低い声に広哉は顔をあげた。
厨房からの短い通路には巻き毛たちのオーダーを運んだばかりのリコ、それと金髪。こうしてならんで立っているのを見るとかなりの身長さだ。リコが小さいのか、金髪が長身なのか。学生時代にバレーボールをやっていた賜物でいちおうはのっぽ組に分類される広哉は地味に落ちこんだ。モッツァレラチーズとトマトを一緒くたに噛みつぶす。
「どしたの。世界の広さでも知ったような顔して」
「……どんな顔すか」
「今のひろやんみたいな顔よ」
「んな子どもじゃないっす」
「十代がなに言ってんの。青い青い」
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復活とガンスリにハマっていたころ小説オンリー部誌に提出しようとか思っていたよくわからんブツ。
読みなおしてみてつづきを書くことは不可能と気づきました。
主人公が予備校スタッフなあたり受験期だったことがうかがえます。